鈴鹿で8時間照り焼きになった日
こんにちは、佐々木です。
鈴鹿8時間耐久レース決勝のお手伝いへ行ってきました。
6時30分：サーキット入場ゲートは、スペシャルゲスト／キアヌ・リーブス氏を一目見ようと駆けつけたファンで混雑しています。
残念ですが、ウチのハイエース覗いたってキアヌは乗っていませんよ。
7時30分：朝のチームミーティングが始まり、 私には「サインボード担当」が言い渡されました。
もしもし？、ちょっと待った。そんな重労働をスタート直前に言い渡すチームがどこにある？
ひょっとして、直前逃亡を防ぐ作戦ですか？
念のため、チーフメカへ休憩のタイミングを尋ねてみたところ、ゴニョゴニョと口ごもるばかりで明確な回答がありません。
・・・もういいです。悟りました。 外気温36℃／路面温度57℃。
私が8時間、アスファルトの照り焼きになっていれば皆が幸せになれるのですね。
ちなみに、ウチのカミさんは社会保険労務士だぞ。後で労働基準監督署に訴えてやる！
そんな冗談を言っている間にも、スタート時刻が近づきます。
あっという間にグリッドへ整列する時刻になり・・・
11時30分：決勝レースがスタートしました。
No.99 ワイズディストラクション レーシングは予選28番手からトップ10入りを目指します。
しかし、上位入賞を目指すにはアベレージタイムの向上が不可欠です。
シュミレーションの結果、調子の上がらない ライダー吉道の出番が削減され、 1スティント（1回）のみライディングする作戦をとる事になりました。
遠い昔、私にもライダーの経験がありますが、こんなに屈辱的な宣告はありません。
正直なところ、こういう作戦になるであろう予測は付いていましたが、彼に何と言葉をかけてあげればよいものか、私には分かりませんでした。
さて、転倒車両が続出し、6回もセーフティーカーが入った大荒れのレース。
我がチームも、その餌食になりました。
先ずは第一ライダー國川選手が軽いスリップダウンを喫し、タイムをロス。
その後、ライダー交代した吉道のスティントでもセーフティーカーの先導が入り、再びスロー走行。
しかも、その最中にフロントタイヤがパンクに見舞われてしまいました。
ライダーの様子を見て、インカムで緊急ピットインの可能性を伝える私（本日、私が役に立ったのはこの一回だけ・・・）。
翌周ピットへ戻ってきた吉道の8耐は、不完全燃焼のまま終えたかに見えました。
ところが、15時06分。
交替して出て行った國川選手がバックマーカーと接触し、本日2度目の転倒。
鎖骨を骨折するアクシデントに見舞われました。
ライダーは救急車でメディカルセンターに運ばれ、万事休す・・・かと思いましたが、数年前にルール変更があり、ライダーがバイクを押して戻る事が出来なくても転倒車両の回収を行える事が判明。
バイクには大きなダメージがありましたが、メカニックたちは必死の修復作業にかかります。
その甲斐あって、17時50分： 日が傾きかけた頃にNo.99号車はコースへ復帰。
ライダーは・・・吉道！ 元気よくコースへ飛び出して行きました。
レースへ復帰し、ストレートを駆け抜ける吉道の背中からは、先程とは違う気合が感じられました。
ピットからは、「佐々木さ～ん、マシンに問題ないですか？」と通信が入ります。
「ストレート、全開で戻りました。問題ありません」。と答えるワタクシ。
ところが17時53分：吉道が突然ピットインしてきたではありませんか！
慌てるメカニックと、動揺するワタクシ。
コラコラ吉道、急に帰ってくるんじゃな～い！ まるで、「問題ない」と発言した私が嘘つきみたいじゃないですか！
原因は、クラッチケーブルに軽いトラブルが発生した様子で、すぐにピットを後にして行きました。
その後、手負いのバイクで今年のベストタイムを連発する吉道。
プレッシャーから解放されて、ようやく本来の実力を発揮し始めました。
スイッチが入るの遅いよ！どれだけ心配して、会社休んで様子を見に来ていると思っているのさ！！
こうして無事役割を果たした吉道は、元GPライダーkoyamaxへバイクを託しました。
そして19時30分：チェッカーフラッグが振られ、レースは終了。
皆でライダーを迎えます。
結果は52位。
プロのライダーとスタッフが集まったチームとしては惨敗ですが、レース終了後は皆笑っていました。
限りある時間と予算の中で、今できる事は全力で取り組んだ。という充実感が皆を笑顔にしているように見えました。
ところで、私が皆の顔を眺めながら、そんな事を考えている最中のこと。
娘からメールが来て「どべ？」と聞かれてしまいました。
・・・実は、完走扱いの中では本当に「どべ」だったのですが、何か問題でも？
ひょっとして、ウチの娘が一番プロフェッショナルな考えの持ち主かも知れません。。。
さて、2か月前
おかげさまで鈴鹿8耐参戦決定しました。
まだマシンもライダーも俺１人しか決まってないけど、キャンギャルは決まりました(^_^)
という謎のメールから始まった今年の8耐は、今日でおしまい。
日焼けと汗疹と充実感が残った、7月の出来事でした。
ついでに、その晩。吉道と一緒にメシを食っている最中の事。
「9月に全日本、大分ラウンドがあるんだけど」。
・・・大分？冗談じゃない。勝手に行けや～！！
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